私たちの周りには、食べられるものの食べ過ぎると中毒を起こす危ないものがいくつかあります。
白菜、青梅、トマト、ナス。
しかしどれも普通に摂取することには、体に良いこそあれ、なんの害もありません。
食べすぎの量はどれも一日に数トンとか何百個の膨大な量です。
人間が一度に食べることのできない量なので普段は気に止める必要がまったくありません。
しかしちょっとだけ気をつけたほうがいい食べ物があります。
銀杏です。
小さいですし、ちょこちょこっとおつまみなどでも食べられますので油断すると食べ過ぎてしまう可能性があるからです。
では、
銀杏中毒についてみてみましょう。
銀杏の中毒の原因は?
銀杏中毒の原因は、銀杏に含まれるアンチビタミンB6物質。
どうしてこれが中毒を起こすのか、そのメカニズムを説明しますね。
人間はカラダの中でいろんな栄養素や、酵素、微生物が働いているのはご存知ですね。
食べたものを消化したり、消化したものをエネルギーや血や細胞に必要なものに作り替えたりしています。
そうやってわたしたちは生きています。
ビタミンB6は神経伝達などの働きをカラダの中で行っています。
このビタミンB6と似たような物質が、銀杏には含まれているのです。
メチルピリドキシンという物質です。
似たような物質なら、ビタミンB6を助けるんじゃないの?と思いますが、実は逆です。
カラダの中でビタミンB6と戦って、働きを邪魔してしまうのです。
難しい言葉で言うと、拮抗するということです。
こうなると中毒症状が起こってしまいます。
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銀杏の中毒の症状は?
ビタミンB6が働いていない状態ですので、その症状はビタミンB6が足りていないときに起こるビタミンB6欠乏症と同じ症状になります。
銀杏を食べた後、数時間して下記のような症状が表れます。
■軽い症状
- 鼻血
- 腹痛
- 吐き気
- 消化不良
■中度症状
- 嘔吐
- 下痢
- 痙攣
- 手足麻痺
■重度症状
- 意識混濁
- 意識消失
- 死亡
死亡率は31パーセントです。
もともと栄養失調気味でビタミン不足だった第二次世界大戦以後の日本では、症例の報告が残っていますが、現在では銀杏中毒にかかる人はまれとなりました。
茶碗蒸しに入っている銀杏を一個か二個食べる程度なら危険は全くありません。
料亭などで秋の味覚を、松葉銀杏などで楽しむ程度でも全く危険はありません。
しかし、毎年銀杏拾いをして大量に食べる方は、ちゃんと対策を知っておく必要があります。
銀杏の中毒の対処は?
中毒が出るほどの個数を食べない
- 子どもは7個まで! 成人では40個まで!
- 5歳未満の子どもには食べさせない!
銀杏中毒の症例の7割が5歳未満なのです。
子どもは5歳以下は食べないほうがよいでしょう。
また成人でも、体質などによりますので40個までは大丈夫とは考えないほうが良いようです。
ほどほどにということをいつも頭に置いておきましょう。
お酒のおつまみで食べるのが進んだとしても20個くらいでやめておくのが無難です。
中毒症状が出てしまったら?
病院で適切な治療を!
ごく軽い鼻血や、腹痛程度なら安静にすることで回復するかもしれませんが、吐き気や、めまいとなれば病院にかかりましょう。
できるだけ吐かない!
吐き気があっても、無理に吐くのは禁物です。
痙攣を引き起こすことがあるからです。
お医者さんに銀杏中毒であることを伝える!
銀杏中毒は、ビタミンB6製剤の投与で回復します。
ですが銀杏中毒であることが分からなければ、別の病気と判断されて適切な治療が受けられないかもしれません。
銀杏を食べた後に調子が悪くなった時は、原因が他にもあるとしても、いつ、何個くらい銀杏を食べたかを医師に伝えましょう。
48時間以内には回復できる
適切な治療が受けられれば、24時間ほどで、長くとも48時間以内には回復できます。
妊婦さんは銀杏を食べて大丈夫なの?
妊娠中の女性にとっておなかの赤ちゃんのため、食べ物には十分な注意を払っているかと思います。
中毒を起こす可能性のある“銀杏”も食べていいのか気になるところですよね。
結論から言えば
「妊娠中にも食べることは可能」
と言えます。
赤ちゃんへの直接的な影響は考えにくいため妊娠初期から後期まで時期を問わず食べることはできます。
しかしいくつかの注意点があることはお忘れなく。銀杏の中毒性については述べましたが、妊娠中にはより“食べすぎ注意”です。
自分の身体でいて自分とは違う体にもなっているといっても過言ではない“妊娠中”なのですから。
- 毎日食べない
- 料理の添え物として2.3粒
この程度に抑えておきましょう。
“ついついおいしいから”や“空腹の足しに…”という事はしないようにしてくださいね。
銀杏は妊娠中に積極的に食べようと推奨される食べものでもないので気になる方は摂取を控えても構いませんよ。
まとめ
銀杏がよく食べられていた時代なら、これ以上食べるとダメというのは当たり前の知識だったかもしれません。
徐々に銀杏が珍しく、あまり食べられなくなってきていますが、たくさん食べると危険という知識は薄れさせないようにしたいものです。