現代に生きる私たちには想像できませんが、電気のない時代の夜の闇はとても深いものでした。

そんな真っ暗な夜の闇に、ほのかに明かりをさしてくれる月。

さらに月の満ち欠けによって月日は進み、人々はその暦にそって種を蒔き作物を収穫していました。

人間が月に神秘的なものを感じ、感謝したのも当然ですよね。

日本では古くは縄文時代から十三夜と呼ばれる月の夜に、お酒などをお供えしていたと言われます。

やがて十三夜よりも1ヶ月前の満月の頃、十五夜を祝う中国の習慣が伝わり、江戸時代には広く一般に祝われるようになりました。

現代ではお月見は十五夜の夜となっていますね。

では、

  • 十五夜のお供え物は何をするの?
  • 十五夜にすすきを飾るのはどうして?
  • 団子にはどんな意味があるの?

十五夜の習慣を振り返ってみましょう。

十五夜のお供え物は何をするの?

十五夜のお月見は江戸時代に一般庶民に伝わりましたが、その時に秋の収穫のお祭りと融合しました。

秋の月を愛でるだけでなく、収穫を月の神様に感謝するという習慣になったのです。

ですから十五夜のお供え物は、地域によって差はありますがすべてこの時期の収穫物です。

  • サツマイモ
  • 里芋
  • 豆類
  • お米
  • ブドウ

などなど。

今年も無事に収穫ができたことを、神様に感謝してお供えしていたのです。

そして今ではお米で作ったお団子とすすきを飾るのが主流になっています。

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十五夜にすすきを飾るのは何故?

すすきはもともと神道では神様が宿ったり、魔除けの意味合いを持っている植物です。

それに加え、日本人の主食である稲穂に似ているという特徴もあります。

生きていくのに欠かせないこの作物を、ぜひ収穫の神様に感謝してお供えしたいと思ったのでしょう。

しかし十五夜の頃にはまだ収穫は終わっていません。

それですすきを、たわわに実った稲穂に見立てて飾ったとされています。

お月見で飾ったススキを玄関に吊るして魔除けとしている地域もあるようです。

十五夜に団子を供える意味は?

はじめは収穫物をお供えしていましたが、いつしか団子もお供えされるようになりました。

  • この時期の収穫物
  • お月様への感謝
  • 縁起

が関係していると言われています。

お米から作っているお団子は、私たちには欠かせない作物の収穫への感謝の気持ちを込めています。

丸い団子は、十五夜のまん丸なお月様に見立てられています。

お月様の満ち欠けあっての収穫であることへの感謝の気持ちを表しています。

そしてさらに丸い形には農業、家族、健康、人生、物事がすべて円満に行きますようにという祈願の気持ちが込められているんです。

やはりこのお団子にも地域ごとの差があり、里芋を団子のようにしてお供えするところや、小豆あんを乗せるところもあります。

まとめ

十五夜のお供えには、その時代に生きていた人たちの信心深さや、感謝や祈願が込められていたことがよくわかりますね。

しかしなぜ現代の今の主流はすすきとお団子になったのでしょうか。

それは時代が進むにつれて農家が少なくなってきたということと関係があると思います。

自分の家庭で収穫したものをお供えできないので、一般家庭でもお供えしやすいのがお団子とすすきが定着したのでしょう。

そして今、またお月見の形は変わりつつあるように思えます。

十五夜のお月様より、一年で一番月が大きく見えるスーパームーンの方がネットなどにメディアによく登場するようになってきました。

スーパームーンをスマホで撮影してソーシャルメディアで公開するのが恒例になってきたり、スーパームーンの晩に恋人と過ごすとか、願をかけることなどが少しずつ若い人の間で浸透してきました。

100年くらい経った時、お月見として定着しているのはスーパームーンかもしれませんね。