5月5日のこどもの日は、端午の節句とも言われ、こいのぼりや五月人形を飾ったり、ちまきや柏餅を食べたりと昔からさまざまな習慣があります。
そのひとつが、「菖蒲(ショウブ)」に関するものです。
菖蒲湯もそうですが、その菖蒲を頭に巻いたり屋根に挿したりする習慣もあるのをご存じでしょうか。
こどもの日と菖蒲の関係について、そのさまざまな云われや習慣をご紹介していきます。
菖蒲ってどんな植物なの?
菖蒲(ショウブ)は、サトイモ科の多年草で、池や沼などの湿地に群生します。
地下茎は短く横に這い、葉は剣状で左右から扁平になっています。
花は5月頃に咲き、目立たない黄緑色の多数の小花を円柱状につけます。
同じ「ショウブ」の名が入るハナショウブや、アヤメ、カキツバタと似ていますが、これらはアヤメ科の植物で美しい花が咲きます。
ショウブはアヤメのような紫色の美しい花ではありませんし、葉が似ているだけで別のものです。
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何故頭に菖蒲を巻くの?
こどもの日は、菖蒲を湯船に浮かべた「菖蒲湯」に入る習慣があります。
その際、菖蒲を頭に巻いてお湯につかるという習慣もあることをご存知でしょうか。
では何故こどもの日に菖蒲湯に入り、頭に菖蒲を巻くのかをご説明していきます。
5月5日のこどもの日は、端午の節句でもあります。
端午の節句の由来である中国で、菖蒲は病を治す薬草であり、邪気を祓って無病息災を願う植物であるとされていました。
そして、端午の節句が日本に伝わるとともに、菖蒲を入れた湯に入る習慣も日本で広まっていきました。
また、江戸時代の武家社会において、「ショウブ」の読みが「勝負」や「尚武」と一緒なので、男子の出世や戦の前に勝利を願うために、菖蒲湯に入る習慣が広まったとも言われています。
菖蒲には精油成分が含まれており、触れると皮膚が刺激されるため、菖蒲湯には血行促進や保温の効果があり、鎮痛効果もあることから、腰痛や神経痛に効くとも言われています。
このような健康効果から、その菖蒲を「巻いたところが良くなる」=「頭に巻くと頭が良くなる」という云われになり、頭に巻いてお湯につかる習慣も広がっていったのです。
他にも同じ理由から、お腹に巻くと健康になるとも言われています。
屋根の上に菖蒲の訳は?
こどもの日のあたりは季節の変わり目でもあり、梅雨を迎えることから、病気や災厄を避けるための厄祓いは大切な行事でした。
この頃に盛期を迎える菖蒲がさまざまな厄祓いのために使われ、菖蒲湯に入る習慣が広まり、菖蒲や蓬を屋根に挿すことでその香りによって邪気を祓うとされてきました。
しかし、茅葺きの屋根はその後ほとんどなくなっていったので、代わりに屋根の上に置いたり、縛って軒に吊るすようになったのです。
菖蒲の他の使い方は?
菖蒲は、地域によっては菖蒲湯や屋根にのせる以外にも、厄除けのためにさまざまな方法に使われていました。
菖蒲酒
体の中の邪気や病魔を祓うために、菖蒲の根を刻んで漬けたお酒が飲まれました。
古くは、田植えの前のお祭りのときに早乙女たち(稲の苗を水田に植える女性のこと)が飲んだとされています。
菖蒲枕
5月4日に菖蒲を枕の下に入れて眠ります。
その菖蒲を翌日のお風呂に入れて菖蒲湯にすることで、無病息災を願いました。
菖蒲打ち
菖蒲を地面に打ち付け、大きな音を出す遊びです。
音が大きいほど縁起がいいとされています。
まとめ
菖蒲は、こどもの日の季節に、主に厄除けや邪気を祓う役割があったのですね。
こどもの成長や健康を願うためにも、昔は今よりも菖蒲の必要性は高かったということでしょうか。
本物の菖蒲は、普段は花屋さんなどでも見ることはなかなかありませんが、こどもの日の前になると売られていることもあります。
しかし、手に入れるのが難しかったり、本物はちょっと・・・という方は、入浴剤などもありますので試してみてはいかがでしょうか。