松茸。
日本人には珠玉の秋の味覚ですね。
それほどキノコが好きではない人も、松茸といえば、どれ一口味見してみようかなと思うほどの高級な味わい。
しかし国産ものの松茸は、なかなか庶民の気軽な秋の食卓に並ぶことはありません。
なぜたくさんの種類のあるキノコの中で、松茸だけが特別な存在になってしまったんでしょうか。
■松茸ってどんなキノコなの?
松茸が珍しいのは、農場などで人工的に栽培できないからなんです。
■松茸の人工栽培が難しい理由は?
1本が安くても2、3000円、高ければ10000円越え!
■松茸の値段が高い理由は?
などなど、あなたの知らない松茸の世界を見ていきましょう。
松茸ってどんなキノコなの?
日本で採ることのできる食べられるキノコは200種類あると言われています。
その中でもスーパーに並んだり、好んで食べられるキノコは70種類。
松茸はそのキノコの中でも王様です。
そう言われる理由は、
- 味覚
- 希少性
- 価格
にあると思われます。
縄文時代にはすでに食べられており、昔から日本人に愛されているキノコが松茸です。
旬は秋。
主にアカマツの根元に生え出ます。
松茸といえば、香りが特に好まれますが、この香りの元はマツタケオールと呼ばれて、人工的に作ることができます。
松茸ご飯の素や、松茸のお吸い物、松茸の茶碗蒸しなどに使用されていますね。
しかし驚くべきことに、この香り、欧米ではえらく不評です。
- 軍人がブーツを脱いだ時のツーンとした靴下の匂い
- 何週間もお風呂に入っていない人の匂い
など散々な言われよう…
好んで高いお金を払ってまで松茸を食べるのは日本人くらいなようです。
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松茸の人工栽培が難しい理由は?
キノコ農場って見たことありますか?
椎茸など、木の屑を固めたような土台から何個もニョキニョキと生えているのが、倉庫の棚いっぱいに並んでいます。
松茸もあんな風に栽培したらいいのに、と思いますが、それができないのが松茸なんです。
もちろん頭が良く、努力家の日本人。もう何年も松茸を人工的に栽培しようとずっと研究し続けていますが未だに成功しないのです。
その理由は、
- 生きたアカマツの根元でなければできない
- 生きたアカマツでも、樹齢などの制限がある
- 松茸の菌が育つ環境が複雑すぎる
などがあげられます。
松茸の菌は、アカマツの根っことお互いに必要な栄養素を交換することで共生しています。
こういう種類の菌を菌根菌といいます。
実はここまでは人工的に栽培できているんです。
問題はここからなんですね。
アカマツの根元で、松茸の菌は広がっていくのですが、これをシロといいます。
いわば快適な場所を見つけて根城にするわけですね。
この根城で、さらに成長し子育てするためには様々な条件が必要なのです。
アカマツの樹齢、根元の湿度、温度、日光、日射時間、土の形、柔らかさ、栄養、などなど。
この組み合わせがあまりに複雑で人工的に作り出すのが難しいのです。
松茸の値段が高い理由は?
それにしても松茸の値段の高さは異常ですよね。
- 人工的に栽培できない
- 自生する松茸の少ない
この2つがあいまって、松茸の値段を吊り上げています。
そうなんです。
人工的に作れなくても、山にたくさん自生してくれてさえいれば誰でも気軽に食べられるんです。
実際、昭和初期まではどの山にも秋になるとニョキニョキと松茸が生え出ていたんです。松茸は庶民の秋の味覚だったのです。
昭和初期頃の松茸の出荷量は年間6000〜10000tありました。
今のミョウガやパセリくらいでしょうか。
いまでは年間140tしかないんです。
そりゃあ値段も吊りあがりますね。
自生する松茸が減ったのは、アカマツの木の減少が原因です。
じゃあ植えればいいのでは?と思いますが、林業従事者の減少や、マツクイムシの大発生など、そう簡単な話ではないようですね。
まとめ
松茸の菌がアカマツ以外で育たないかどうかも熱心に研究されています。
都立菌糸類研究所では、さまざまな動物の脳みそに植えてみる実験もしているんですって!
犬や猫や、なんと人間でも… その結果ハムスターの脳みそで育つことがわかったみたいですが…あんまり食べたくありませんね。
できればアカマツの木で育てる研究が進んで欲しいものです。