ある男は、異国の地で囚われの身となっていました。
質素ながらもちゃんと食事の配給も行われていました。
やがて、囚われていた男は解放されますが、自分を捕らえていた国の軍人を告発します。虐待された、と。
軍人は全く身に覚えがありません。
捕虜を人道的に扱ったと主張しますが、受け入れられず、刑が確定します。
虐待の内容は、木の根っこを食べさせられたというものでした。
これは戦後に起こった実話です。虐待で処刑されたのは日本人です。
木の根っこ、それはごぼうでした。
もしかしたらそのごぼう、ちゃんと下ごしらえができていなかったのでしょうか?
アク抜きできていなかったのでしょうか?
それで木の根っこと思ったのでしょうか?
全く理不尽で不可解な事件です。
家族に木の根っこを食卓に出したと言われないために、ごぼうの下ごしらえの方法を見てみましょう。
また、ごぼうにアク抜きは必要なのか、必要ないのか、その理由も見てみましょう。
ごぼうの下ごしらえの方法は?
新鮮なごぼうは、泥がついた状態でスーパーに並んでいます。
【泥を落とす】
流水で流しながら、もしくは水を張ったボールの中で手でこすります。
水が茶色くならなくなったなら、泥は落とせた状態です。
【皮をむく】
ここで大事なのは、ごぼうには皮の2、3mmの部分に栄養と、ごぼうの香りの成分が凝縮されているという点です。
■ごぼうの香りと栄養を十分に残したい場合→タワシやアルミホイル
- タワシはアクリルたわしなどがちょうどいい感じに皮がむけます。
- アルミホイルを使う場合
適度な長さのアルミホイルを一旦手でグシャグシャと丸めます。
それから破れないように広げて、ごぼうに軽く巻きつけます。
そして巻きつけたアルミホイルをにぎって、ごぼうにそって上下に動かします。
アルミホイルのシワが、ごぼうの皮を薄くむいてくれます。
■ごぼうの香りと栄養を十分に残したいが、皮が硬い場合→包丁の背
新鮮なごぼうは皮が柔らかいですが、時間が経つと乾燥して硬くなります。
そんな時は包丁の背の部分でこすります。皮がちょうど良くこそげます。
■ごぼう臭さが苦手なのでなるべく消したい場合→ピーラー
子どもなど、ごぼう本来の風味が苦手な場合もあるでしょう。
そんな時はピーラーでむいてしまえば、だいぶ軽減できます。
しかし先に書いたように、香りとともに栄養もだいぶ失われてしまうというデメリットがあります。
スポンサーリンクごぼうはアク抜きは必要ないの?
【ごぼうのアク抜き】
切ったら、水にさらす。
色が変わらなくなるまで水を変える。
または酢水につける。
これが定番です。
しかし実はごぼうにはアクはありません。
【ごぼうのアクは栄養のかたまり】
実は水が茶色くなるのは、ポリフェノールの一種の成分が染み出ているからなんです。
これには抗酸化力があり、血液をサラサラにし、抗がん作用もあると言われています。
つまりアクではなく栄養のかたまりなんですね。
【ごぼうを水にさらすと香りと栄養が失われる】
水にさらしたごぼうと、さらさなかったごぼうを使ってきんぴらごぼうを作り、10人の人に食べ比べてもらいました。
なんと10人全員が、水にさらさなかったごぼうを使用したほうが美味しいと答えたという実験があります。
ごぼうは水にさらすと香りが失われ、ごぼうの持つ豊かな栄養も流れ出てしまうのです。
【水にさらすのは見た目重視】
調理本などで水にさらすのは、調理したごぼうがなるべく白く仕上がるためです。
見た目を気にしないならば、香りと栄養重視で水にさらさずに、切ったらすぐに調理したほうが良いのです。
しかし賛否両論あり、水にさらさないとごぼう臭くて食べられないという人もいることでしょう。
結局は好みということになりますね。
まとめ
さて、これらのことをちゃんと知っておけば、日本の軍人はごぼうの土臭さをちゃんと消して料理ができ、告訴されずに済んだのでしょうか?
残念ながらそうではないようです。
実はごぼうを食べる習慣があるのは、日本と韓国、台湾のみ。
捕虜となった男の国ではごぼうなんて食べたことも、もしかしたら見たこともなかったのかもしれません。
どう料理されていようが、彼にとってはただの木の根っこだったんです。
結局は食生活の違いが、悲劇を生んでしまったんですね。
というより、捕虜という事態が生じる戦争が、こんな悲劇を生み出してしまったんですね。